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騙されたお客様~後編~

前回のつづきです。

自分でも納得できてないのに契約書に印鑑をついてしまうなんてことは、
私の中では考えられないことですが、世間ではこういう話は思いのほか
たくさんあるようです。
営業マンは得意の話術でその気にさせ、お客様のために特別な値引きを
用意しました!とか、決算月なのでここまでさせて頂きます!などと
“あなた様だけの”もっともらしいことを口にする。
しかし、そのほとんどが真実とは程遠いまやかしの世界である。

今回のお客様も、そんな口車に乗せられて契約書に印鑑を押してしまった。
「建物の契約は、土地と同時にするのが当然ですよ。」
そう言われたお客様は疑いもなく契約してしまったのである。
建設会社に乗り込んでいったお客様と私は、まずその不条理な点から
責めていった。
最初に対応してくれたのは担当営業ではなく、その担当者の上司の方でした。

私「建物の契約と土地の契約を同時にする決まりはありませんよね?」

上司「はい。同時にして欲しいと言ったのは当社の希望を言ったまでで・・」

私「しかし、そう言われて詳しい説明がなされてないのに契約をさせられて
  いるわけですよ。姉ちゃんも(義理の)兄ちゃんも、担当の営業さんを
  信じてお願いしたのに、ふたを開けたらこっちが希望する仕様と雲泥の差
  ではないですか!!」

営業マンとして許せない感情と弟を演じるあまり、感情移入が度を超し
ちょっと言葉を荒立ててしまいました。
実際の胸中は、かなり冷や汗モノだったのですが、上司の方と何度かの
押し問答をして、お互い納得のいく解決をしようということになった。

上司「お気持ちはわかりました。かと言って私も社員を信じております故、
   本人から事情を聞かせてください。」
との申し入れがあり。こちらも了承しました。

ここで担当の営業マン登場。
見るからに、ふてぶてしい態度で、自分は何も悪くないと言い、
建物の契約はお客の納得済みであると言い放った。

仕様について何の説明もせず、土地と一緒に契約しないといけないと嘘をつき、
その後の住宅ローンの手続きなどもまったく手を付けていない状態にも関らず
自分は悪くない!とはっきり言い切れる根性にあきれ返った。

私の怒りのバロメーターは完全に振り切っていた。
上司に向かって話したのと100倍くらいの力で言葉が出そうになった時、
それを遮るかのように、その上司が担当営業に向かって鬼のような剣幕で怒り出した。

「お前がちゃんと説明してないから、お客様が困っておられるんだろうがっ!!!」

これには、そこにいた全員がびっくりしたが、気分はスッキリした。
もしかしたら、客の前でのポーズだったのかもしれないが、
あの剣幕で怒り出したら、もうこっちは何にも言えなくなる。
そこまで怒らなくても・・と思わせるほどのお説教をたっぷりして、
「この契約はこちらの方から白紙にさせてください。」
と申し出があった。契約金として預けていた100万円も無事返って来た。

結果的には、上司は物分かりの良い人で、組織的にお客様を騙すような会社では
なかったので事なきを得たが、担当者一人の責任とも言い切れないところもある。
営業マンは会社の顔そのものだから、やはり営業マンにそんな営業をさせた会社にも
責任は大いにある。

人の振り見て我が振りなおせ・・
自分も会社の信用を背負って営業をしているのだと
改めて考えさせられた出来事でした。

建設会社を出て、帰り道で、お客様からこう言われました。
「あの迫真の演技!私たち家族からブルーリボン賞をあげま~す」
こっちは冷や汗たっぷりかいていたのに、のんきやな・・

最初は契約を解除するためだけのボランティアで引き受けたお話でしたが、
やっぱり営業はご縁のもんです。

このお客様は現在、只松建設の家で幸せに暮らして頂いております。。。


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by tadamatsu-ken | 2012-03-28 23:10 | 思い出に残るお客様

営業パーソンのための自己改革ブログ


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